精神科と心療内科というと、どちらも心の病に関係している症状を治療する医療機関であるということは間違いありません。しかし精神科で治療をする精神病と心療内科で治療する心身症は、一緒というわけではないのです。精神病には心の病も含まれてはいますが、その根本にあるのは脳による病気であると考えられています。うつ病や総合失調症・不安症は精神病の一種で、発達障害や認知症も精神病に当たります。一方で、心身症とは特定の病気を言うのではありません。心理的・社会的ストレスによって発症したり、出ている症状が悪化したりする身体的な疾患そのものを指しているのです。例えば、潰瘍や片頭痛、アトピー性皮膚炎や気管支喘息などがストレスによって発症したリ症状が悪化したりすることを、総じて心身症と言います。
心療内科で行われる治療は、まずは身体症状に対する治療です。例えば、ストレスによって胃潰瘍を発症しているのであれば、潰瘍を直す治療薬を、ストレス性の喘息を発症したのであれば喘息の治療薬を用います。今起こっている症状をや和らげて、心身症の症状を緩和させることが心療内科の主たる治療目的です。ただし、症状を緩和させるだけでは、ストレスの根本的な原因解決にはなっておらず、病気の完治には遠い道のりです。そこで、心療内科では心理面に対する治療も同時に行っていきます。薬物療法や認知行動療法などが一般的ですが、こちらはどちらかというと軽度の症状に対して行われるものです。心療内科でできる治療には限りがあり、長期化したり重度の心身症であったりする場合は、精神科でより本格的な治療を選択した方がいいとされています。
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