薬物療法と心理療法

精神科で行われる薬物療法

現代の精神科では、脳科学的な要因に働きかけて脳内物質のバランスを整える薬物療法が行われています。精神科の治療では中心的な存在になることも多く、統合失調症やうつ病などでは薬物を使わないことは珍しいです。薬物療法は1952年にフランスの精神科医によって抗精神病薬が発見されたことで始まりました。薬物療法は抗うつ薬や抗精神病薬、睡眠薬などの様々な種類の薬剤を用いて、症状を改善させることを目的としています。副作用の可能性はありますが、少ない量から始めて副作用が出ないことを確認しながら量を増やしていくのが一般的です。薬物療法は症状の再発を抑える役割もあり、いきなり服用をやめるのではなく主治医の指導に従って服用を続けることになります。

話し合いの中で症状の改善を目指す心理療法

心理療法とは、医師やカウンセラーなどの専門家との話し合いによって問題の解決を図る治療法です。患者の考え方や行動を変化させることで、症状を軽減させることを目的としています。心理療法には精神分析や来談者中心療法などのアプローチ方法がありますが、代表的なのがうつ病に有効とされる認知行動療法です。人それぞれ異なる物事の見方や受け取り方を認知と呼びますが、うつ病の場合では認知が否定的なものに囚われてしまいます。認知行動療法では否定的な認知に対して、どのように起きたのか、どのように感じたのか、細かく検証していき、否定的でない認知に気づけるようになることを目指していきます。同時に日常生活の評価などの行動面のアプローチを取り入れることで、否定的な考え方を解消し、病状の改善に取り組む治療法です。